2013年12月28日土曜日

高齢者の摂食・嚥下リハビリテーション

みぃです。
遅くなりましたが、先月30日に行われた「はままつ健康フォーラム」のご報告です。浜松市リハビリテーション病院の藤島一郎先生が、造影検査や内視鏡検査の映像も交えつつ、嚥下について詳しく解説して下さいました。先生が撮影された花の写真にも心が和む、楽しい講演でした。内容をご紹介させていただきます。

「高齢者の摂食・嚥下リハビリテーション
~口から食べることの大切さ~」
・嚥下:飲み込むこと
誤嚥:食道ではなく気管に食物が入ること
(誤飲は食物以外のものを飲み込むこと)
・咽頭は加齢とともに下がってくる
 70代80代が顕著→嚥下障害が起こりやすい
・嚥下障害の原因
  脳卒中、頭部外傷、神経筋疾患(パーキンソン病など)
  代謝性疾患(糖尿病など)
  意識障害、認知症
  医療行為(手術や挿管による浮腫や損傷など)
  薬剤(トランキライザー、筋弛緩約薬など)
☆反復唾液嚥下テスト
 口を水で湿らせて、30秒で何回唾をゴクンと飲みこめるか測定
 ※2回以下しかできない場合は外来へ…
・実は、水はむせやすい!=飲みやすいが誤嚥もしやすい
 酢や辛い物もむせやすい
 (健常者でも咽頭に若干侵入するので、反射的に咳き込む)
・誤嚥を防ぐポイント
  気合を入れる(嚥下に意識を向ける)
  息こらえ嚥下(息を吸って、しっかり止めて飲み込む)
  おへそを見る(少し下向きで、顎を引く)
  右下を見る(7~8割の人は右向きの方が飲みやすい)
  トロミをつける
  リクライニング位にする
・嚥下おでこ体操は直後効果あり!
 額に手を当てて抵抗を加え、おへそをのぞき込む
 1セット5回+最後に5秒間維持する

◎明日からできること
・日ごろの健康管理
・安全な食事と摂取法(食べやすいものをゆっくり食べる)
・口腔ケア(朝昼晩と寝る前の歯磨き)
・嚥下おでこ体操
・よくしゃべり、よく笑う

来院される患者さんは男性が多いそうです。一般に女性の方がよくしゃべりよく笑うので、自然にのどの筋肉が鍛えられているのではないか、と考察されていました。
実際に笑っている瞬間の内視鏡映像を見せていただきましたが、のど全体がブルブルとダイナミックに動いていました。筋肉の活動量としては相当なものです。笑うことは色々な側面で健康にいいのですね。
日本人の死因第1位は「癌」2位は「心疾患」ですが、その次は「脳血管疾患」を抜いて「肺炎」になったそうです。
質疑応答で話題に上がりましたが、肺炎球菌ワクチンは誤嚥性肺炎にも一定の効果があるそうです。肺炎球菌も誤嚥性肺炎の一因だからではないか、とのことでした。現在は全額自己負担ですが、誤嚥の危険のある方は接種を検討された方がよいかもしれません。