2016年11月30日水曜日

追悼 田部井淳子さん

みぃです。
10月20日、田部井淳子さんがお亡くなりになりました。
信じられない、というのが正直な感想です。

田部井さんは女性として世界で初めてエベレストおよび七大陸最高峰に登頂した登山家です。(ご本人いわく「登山愛好者」だそうです)
登山史に名を刻む偉人ですが、人柄は朗らかで気さくで温厚そのもの。
ザックのなかから疲労回復のための食べ物(しかもお手製)をどんどん出して振る舞うほど面倒見のいい、そして人に愛される方だったようです。

私は山で偶然お会いしたことがあります。
2009年夏、穂高岳山荘の2階をウロウロしていたら、廊下のベンチに座っていらっしゃいました。
あまりにさりげないので一度通り過ぎましたが、「まさか?」と思い声をかけてみると…なんとホンモノ!!
すっかり舞い上がって握手をお願いしてしまいましたが、ニコニコと応じて下さいました。

田部井さんが素敵なのは、目的遂行のためにたゆまぬ努力を続ける強靭な精神力や冷静な判断力と、日々の生活や人生を楽しむ豊かな心が見事に同居しているところだと思います。
スポンサー無しで海外の山を登りながら、山岳環境保全などの社会貢献活動をしたり、仲間とシャンソンのコンサートを開いたり、本当に幅広い分野でご活躍されていました。

癌で余命宣告を受けても「病気になっても病人にはならない」と、前向きに治療やリハビリに取り組んでいたそうです。
主治医も山に誘って、実際に一緒に登山をしたようです。
東日本震災後は、被災地の高校生と一緒に富士登山をする活動も続けていらっしゃいました。
今年7月、富士山七合目で頂上へ向かう高校生たちを見送ったのが、人生最後の登山になったそうです。

きっと今頃、あの世でも登山を楽しんでいらっしゃると思います。
道中お気をつけて、いってらっしゃいませ!