2013年12月28日土曜日

高齢者の摂食・嚥下リハビリテーション

みぃです。
遅くなりましたが、先月30日に行われた「はままつ健康フォーラム」のご報告です。浜松市リハビリテーション病院の藤島一郎先生が、造影検査や内視鏡検査の映像も交えつつ、嚥下について詳しく解説して下さいました。先生が撮影された花の写真にも心が和む、楽しい講演でした。内容をご紹介させていただきます。

「高齢者の摂食・嚥下リハビリテーション
~口から食べることの大切さ~」
・嚥下:飲み込むこと
誤嚥:食道ではなく気管に食物が入ること
(誤飲は食物以外のものを飲み込むこと)
・咽頭は加齢とともに下がってくる
 70代80代が顕著→嚥下障害が起こりやすい
・嚥下障害の原因
  脳卒中、頭部外傷、神経筋疾患(パーキンソン病など)
  代謝性疾患(糖尿病など)
  意識障害、認知症
  医療行為(手術や挿管による浮腫や損傷など)
  薬剤(トランキライザー、筋弛緩約薬など)
☆反復唾液嚥下テスト
 口を水で湿らせて、30秒で何回唾をゴクンと飲みこめるか測定
 ※2回以下しかできない場合は外来へ…
・実は、水はむせやすい!=飲みやすいが誤嚥もしやすい
 酢や辛い物もむせやすい
 (健常者でも咽頭に若干侵入するので、反射的に咳き込む)
・誤嚥を防ぐポイント
  気合を入れる(嚥下に意識を向ける)
  息こらえ嚥下(息を吸って、しっかり止めて飲み込む)
  おへそを見る(少し下向きで、顎を引く)
  右下を見る(7~8割の人は右向きの方が飲みやすい)
  トロミをつける
  リクライニング位にする
・嚥下おでこ体操は直後効果あり!
 額に手を当てて抵抗を加え、おへそをのぞき込む
 1セット5回+最後に5秒間維持する

◎明日からできること
・日ごろの健康管理
・安全な食事と摂取法(食べやすいものをゆっくり食べる)
・口腔ケア(朝昼晩と寝る前の歯磨き)
・嚥下おでこ体操
・よくしゃべり、よく笑う

来院される患者さんは男性が多いそうです。一般に女性の方がよくしゃべりよく笑うので、自然にのどの筋肉が鍛えられているのではないか、と考察されていました。
実際に笑っている瞬間の内視鏡映像を見せていただきましたが、のど全体がブルブルとダイナミックに動いていました。筋肉の活動量としては相当なものです。笑うことは色々な側面で健康にいいのですね。
日本人の死因第1位は「癌」2位は「心疾患」ですが、その次は「脳血管疾患」を抜いて「肺炎」になったそうです。
質疑応答で話題に上がりましたが、肺炎球菌ワクチンは誤嚥性肺炎にも一定の効果があるそうです。肺炎球菌も誤嚥性肺炎の一因だからではないか、とのことでした。現在は全額自己負担ですが、誤嚥の危険のある方は接種を検討された方がよいかもしれません。

2013年11月9日土曜日

浜松PET診断センター

わしです。
浜松PET診断センターの見学会に参加しました。
「創立60周年記念 浜松ホトニクス総合展示会 PHOTON FAIR 2013」という催しの一環として行われました。
こちらの施設ではPET検査をはじめ、CT・MRI・超音波検査などが受けられます。
それぞれの特長を活かして検査を組み合わせることで、多くの臓器の早期がんの診断ができるそうです。
施設の中はとてもきれいで、心地よい環境づくりがされていました。
さまざまな検査機器を見て回り、検査ごとに担当の方から説明を受けました。
こちらの質問にも丁寧に答えていただき、わかりやすかったです。
私がPETに興味をひかれたのは、浜松医科大学の公開講座を受講していたためでもあります。(関連の記事はこちら。)
PET診断センターではPET総合コースに脳オプションを追加することで、アルツハイマー型認知症に特有な脳の部位での代謝の低下があるかどうかを調べていただけます。
費用はかかりますが、画期的な検査だと思います。
コストを抑えて普及できれば、アルツハイマー型認知症の予防に大きく貢献できるかもしれませんね。
期待したいと思います。

2013年10月16日水曜日

笑顔の国ブータンの子どもたち

みぃです。
12日(土)に浜松市多文化共生センターで開催された「笑顔の国ブータンの子どもたち」という写真展&講演会に行ってきました。

私はチベット自治区やその周辺地域を旅したことがあります。富士山並みの高地が多く自然条件の厳しいところでしたが、チベットの人たちやその文化にすっかり魅せられてしまいました。
ブータンもチベット仏教の国なので非常に興味があり、一度訪れてみたいと思っていました。

講演会では、写真家の関健作氏がブータンに体育教師として赴任した経験を話してくださいました。メディアで「世界で一番幸せな国」として紹介され、とかく楽園イメージの先行するブータンですが、ナマの姿を伝えていただき、非常に面白かったです。

それにしても、”多文化共生”というのはいい言葉ですね。講演にもありましたが、異文化交流で大切なのは「違いを楽しむこと」だそうです。
自分の考え方に沿わないものを拒絶せず、相手の考え方を尊重することは、普段の人間関係や子育てでも大事なことかもしれませんね。


2013年10月1日火曜日

読書の秋 その1

みぃです。
読書の秋なので、おすすめの本を紹介したいと思います。

ぼく、牧水! 歌人に学ぶ「まろび」の美学
伊藤一彦 堺雅人

若山牧水をご存じでしょうか。明治大正期に活躍し、酒と旅を愛した歌人として知られています。私にとって牧水は郷土の偉人であり、伊藤一彦氏と堺雅人氏は出身校の先生と先輩でもあります。
堺雅人氏は『篤姫』『ジェネラルルージュの凱旋』『武士の家計簿』(この原作も面白いです)、最近では『半沢直樹』で大人気の俳優さんですが、たいへんな読書家で、本書のまえがきでは非常に丹精をこめて文章を書いていらっしゃいます。ファン必読の書です!

この本は若山牧水の研究家でもある伊藤先生と教え子の堺雅人氏の対談形式で、牧水の作品や生涯について語られています。「居酒屋で文学談義に花を咲かせている師弟の話をちょっと盗み聞きする」感覚で楽しく読めます。秋の夜長に本書を肴にチビリチビリとやるのもオススメですよ。
ただし、くれぐれも飲みすぎはいけません。牧水は「アルコールで遺体が腐らなかった」という逸話があるほどの酒豪ですが、この点は見習わない方が賢明です。
短歌に全く興味がない方でも、自分が一番好きな歌を探しつつ読むのも一興です。「けふもまたこころの鉦(かね)をうち鳴(なら)しうち鳴しつつあくがれて行く」が私のお気に入りです。

牧水は全国を旅しているので、各地に足跡を残しています。長野には「牧水」というお酒があります。(牧水の商標を他県にもっていかれる我が出身県の不甲斐ないこと…)
静岡県も縁が深く、晩年の9年間を沼津で過ごしたため、記念館も建っています。
沼津アルプスを縦走した時には香貫山でも歌碑を見かけました。お近くの方は是非足を運んでみてください。


香貫山の若山牧水歌碑

2013年9月22日日曜日

うつと不安の上手なつきあい方~認知行動療法~

みぃです。
第3回はままつ健康フォーラムに参加してきました。
国立精神・神経医療研究センターの大野裕先生から認知行動療法についての講演がありました。
うつの患者さんだけでなく、人間関係をスムーズにするためにも活用できそうなお話でしたので、ご紹介します。

うつと不安の上手なつきあい方」
・「認知」とは~ものの考え方、受け取り方
 気持ちや行動は、頭に浮かんだ考え(認知)に影響される
・プラス思考になる必要はない!
 現実に目を向け、しなやかに考えて問題に対処する

具体的には…
①気分にかかわらず活動する
・やる気が出るまで行動しないのではなく、活動を通してやる気を呼び起こす
・自分の行動パターンを知り、心が楽になる行動を増やす
②問題解決力をつける
・コラム法~思考を書き出す(整理、客観視に役立つ)
③コミュニケーションの工夫
・自分の言い分優先の「強い言い方」と相手の都合優先の「弱い言い方」を考え、「ほどほどの言い方」を見つける

何度も「悲しむこと、休むこと、がんばりすぎないことも大切」「無理をしてはダメ」というお話があったのも印象的でした。
ちなみに、心が楽になる行動が見つからないときは、五感に働きかける行動から選ぶとよいそうです。例としてマッサージも挙がっていました。笑顔でいると楽しい気分になったり、体の緊張をほぐすことで心の緊張がほぐれたりすることは、様々な医学的心理的実験でも証明されているようです。
最後に「うつ・不安ネット」というサイトの紹介もありました。パソコンやスマートフォンを使って、認知行動療法のスキルを練習できるのだそうです。便利な時代ですね。

2013年8月26日月曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その10

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その10です。
詳細はこちら

「元気で長生き、食生活のコツ」
・「サルコペニア」…年齢とともに筋肉が減る現象
・筋肉量、特に太ももの筋肉が減ると転びやすくなる
→骨折をすれば健康寿命が短くなる可能性がある
・筋肉を減らさない最大の方策は、定期的に運動すること
・厚生労働省の平成23年度「国民健康・栄養調査」によると、運動習慣のある人の割合は、成人男性35.0%、成人女性29.2%
※運動習慣=1日30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続
・筋肉を維持するための食事のコツ
①エネルギーを十分にとる
→エネルギーが十分ないと、タンパク質はエネルギー源として使われ、筋肉の合成に使われない
・筋肉の合成は1食あたりのタンパク質量が20gで最大となる
20g以上のタンパク質をとった場合、残りはエネルギー源として使われる
「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」では、タンパク質の一日必要量は体重kgあたり1g程度
②良質のタンパク質をとる
→食物からしか確保できない9つの必須アミノ酸がすべて必要量を満たす(アミノ酸スコアが100点の)食材を摂取する
代表的な食材は、肉類(牛、豚、鶏)、鶏卵、牛乳など
③運動後の栄養補給は早めにする
理由1:筋肉の血流が増えているため、筋肉へのアミノ酸の供給量が増える
理由2:筋肉の合成を促すインスリンに対し、筋肉の感受性が高くなっている

さらにまとめると…
・健康寿命を延ばすポイントは「筋肉を減らさないこと」
定期的な運動をして、エネルギー量が十分に確保された良質なタンパク質を含む食事を運動後なるべく早く摂取すること!

人体をクルマに例えてこんなおもしろい言い方をされていました。
「筋肉はエンジンで、定期的な運動が必要。食事はガソリンで、適切なエネルギーが必要。自分はドライバーで、身体活動を向上させる意欲と継続する力が必要。」
最も大切なのはドライバーのあり方でしょうか。
どんな自分でありたいか、そのためにいま何をすべきか。目標を決めるのも、それに向かって努力をするのも自分自身です。
私はといえば…日々反省です。
NHKの「あさイチ」で「サルコペニア肥満」について放送がありました、とお話の中で紹介されていました。リンクを張っておきますので、ぜひご覧ください!

2013年8月25日日曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その9

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その9です。
詳細はこちら

「超高齢化時代を迎え
排尿障害をいかに克服するか」
・膀胱から尿道の出口までを「下部尿路」という
・蓄尿機能…膀胱内に尿を貯留する働き
・排尿機能…貯留した尿を尿道から排出する働き
・一般的には蓄尿障害を含めて排尿障害とされている
・下部尿路障害を起こす疾患のほとんどは致死的疾患ではなく、生活の質(Quality Of Life=QOL)を損なう疾患
※致死的疾患→腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんなど
・主な尿失禁…腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁
・20~50才女性の20~25%が腹圧性尿失禁
・腹圧性尿失禁には症状の軽い順に運動療法、薬物療法、手術療法があり、干渉低周波療法(有効率30~70%)という選択もある
・過活動膀胱(OverActive Bladder=OAB)…40才以上男女の12.4%、約800万人(このうち切迫性尿失禁がある人は約400万人)
・OABの治療
①行動療法→生活指導(水分・カフェインの摂取制限)、膀胱再訓練(排尿間隔を少しずつ延長させ膀胱容量を増加させる)、骨盤底筋訓練、排泄介助
②薬物療法→抗コリン薬(副交感神経遮断)…異常な膀胱収縮を抑え、膀胱容量を増やす

以上、要点をまとめてみました。
致死的疾患ではないものの、QOLの低下を招く下部尿路障害は苦しいものだと思います。しかし、決して諦めることはありません。
QOL疾患の受診の目安は、現れている症状のために「行動が制限されて困る」といった、日常生活での支障があるかどうかです。
日常生活に支障があり、症状の改善を希望する場合は、必ず泌尿器科を受診しましょう。
気になる方はまず、こちらでご自身の症状をご確認ください。
尿失禁の頻度や量、日常生活に対する影響や尿失禁の種類を自分で把握するための質問票です。
大切なのは患者さん自身がどう感じているかです。独りで抱え込まずに、専門家にご相談ください。

2013年8月12日月曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その8

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その8です。
詳細はこちら

「脳卒中から身を守る」
・脳卒中とは脳出血と脳梗塞のこと
・脳出血…血管が破綻するもの、高血圧性脳内出血は減少傾向
・脳梗塞…血管が梗塞するもの、脳卒中全体の70%以上
・脳梗塞の3病型
①心原性梗塞→心臓にできた塞栓が脳血管に詰まって起こる。心房細動と呼ばれる不整脈が主な原因。症状が急激に発現し重篤な後遺症が残る可能性が大きい。予防的に「抗凝固剤」ワルファリンの投与が推奨されている。
②アテローム血栓性梗塞→高血圧に加え、脂質異常症が主な原因。脳の主幹動脈のアテローム硬化による大血管病。再発防止に「抗血小板薬」が用いられる。
③ラクナ梗塞→脳の穿通枝に起こる小血管病。高血圧性脳内出血と類似した血管の病変が破綻せずに閉塞すると起こる。抗血小板薬を治療に用いる場合、慎重な血圧管理をしないと出血が起こる可能性がある。
・脳卒中の危険因子としては年齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動、大量飲酒などがある
・脳梗塞にならないために最も大切なことは、危険因子の管理!

以上、要点をまとめてみました。
年齢のように変えられない因子もありますが、適切な治療や生活習慣により改善できる因子もあります。
脳卒中は危険因子の回避により、ある程度は予防ができ、また発症しても症状が軽くすむ可能性があるそうです。
病院勤務をしていた頃は、脳卒中の後遺症を抱えた方々の治療もさせていただいていました。
後遺症の現れかた、重症度には個人差がありますが、日常生活もままならず大変な思いで暮らしている方も大勢いらっしゃいます。
みなさんが脳卒中を発症しないこと、万が一発症した場合にも身体的・精神的に支えられるようにしたいというのが私たちの願いです。

2013年8月11日日曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その7

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その7です。
詳細はこちら

「長寿の秘訣は腸からー鍛える腸と守る腸―」
・腸内に棲息する細菌は総称して腸内細菌叢(腸内フローラ=花畑)と言われ、100兆個以上の細菌が絶妙なバランスを保っている(人体の細胞は約60兆個といわれていますが、それ以上!)
・腸内細菌叢の代表的な働き
①脂質代謝の活性化
②ホルモンやビタミンの産生に関与
③消化・吸収・代謝への作用
④有害物質や発癌物質の分解・排泄
⑤免疫系の賦活
⑥pHの調整と蠕動運動の活性化
⑦病原菌・有害菌の感染防御
⑧各種臓器の機能の活性化や保全に関与
・ステキな花畑を作るために
①善玉菌を増やす(土壌を改良する)=プロバイオティクス
②善玉菌を与える(肥料を与える)=プレバイオティクス
※善玉菌…乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌など。食品に含まれる細菌は人体に定着しないが、ある程度流れずにとどまり悪玉菌を抑制する。
・免疫細胞の約6割が腸内に待機し病原体と戦っている
・腸を守るポイントのひとつが腸内環境の維持、もうひとつは癌から守ること
・腸を鍛えれば生活習慣病になりにくく、癌にもなりにくい
・早期癌の50%は便潜血反応では検出できない、ポリープあるいは内視鏡で切除できる癌なら95%の確率で根治可能、他に直接診断できる方法がないといった理由から大腸内視鏡検査をお勧めする

以上、要点をまとめてみました。
腸内細菌の様々な働き、その影響力に驚かされました。
ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品は腸内環境の維持に大切なんですね。おいしいうえに健康にいいなんて、ますます食事が楽しみになります。
どんなに腸を鍛えても癌の壁は越えられないので、真剣に長寿を考えているのなら、胃内視鏡・大腸内視鏡検査を今すぐ受けましょうとのことでした。5年に1度くらいの頻度で検査を受けるとよいそうです。
最後にお話の中で出てきた標語をご紹介したいと思います。
「長寿は腸寿!腸寿で長寿!!」

2013年8月7日水曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その6

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その6です。
詳細はこちら

「健康長寿の食事パターン」
・栄養疫学研究で用いられている「食事パターン」とは、総合的な食事の食べ方(栄養素、食品の組み合わせ全体)を評価する、比較的新しい概念
・「食事パターン」の例
①地中海食パターン
②伝統的沖縄食パターン
③DASH食パターン
※Dietary Approaches to Stop Hypertension…高血圧を防止するための食事。米国国立衛生研究所の主導でアメリカ人に向けて実施された。
・「食事パターン」研究の長所
①摂取実態にそっている
→研究成果を食事指針等として還元しやすい
②栄養素、食品の組み合わせを評価する
→相互作用を含めて評価できる
→健康影響を検出しやすくなる
・「食事パターン」研究の短所
→特定の成分と疾病の生物学的関連性を観察するには不適
・「伝統的な日本食パターン」は食塩の多さと野菜不足が問題
・野菜、果物、大豆食品、海藻などをよく摂り、食塩控えめな「健康的な日本食パターン」は、病気の予防に対して有効という研究結果が集まりつつある

以上、要点をまとめてみました。
何をどのくらい食べるべきかは個人の生活様式(年齢や運動量など)によって違いますが、総合的にバランスのとれた食事が原則です。
農林水産省の「食事バランスガイド」を参考にして、バランスゴマ君を回してみてください。
こちらは第1次健康日本21における食生活指針です。
基本的な食生活のあり方が示されており参考になると思います。
この中で「食事を楽しむ」「朝食をとる」「体重を計る」といったことは普段から自分でも実践できていると思います。
「調理方法が偏らないようにする」とか「食材に関する知識や調理技術を身につける」という点は意識して気をつけていきたいと思いました。
食事は習慣ですので、なかなか変えられないかもしれません。
これは健康に良さそうだ、これならできそうだ、と思った良い習慣を取り入れて、少しずつ食習慣を改善していけるといいですね。

2013年8月6日火曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その5

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その5です。
詳細はこちら

「アルツは今:最新の脳研究から」
・アルツハイマー病(AD)の原因はアミロイドという異常蛋白の蓄積とするカスケード説が中心的な考え方となっている(アミロイドカスケード説では説明できないことが多く残されているのも事実)
・病態を客観的に表現するバイオマーカーの探索が重要視されている
・AD脳の分子的異常を観察する手段はポジトロン断層撮像(PET)しかない
・PETでエネルギー代謝を定量的に調べることで、どの程度脳活動が低下しているかを調べることができる(変性していく細胞ではブドウ糖代謝は低下する)
・MRIでもAD脳の形態的変化を観察することができる
・ミクログリアイメージングという手法もある
アミロイドβ蛋白の異常蓄積がミクログリアを活性化
→活性化ミクログリアは細胞障害を引き起こす化学物質を放出
→ミクログリア内に発現する受容体をPETトレーサーで描出

以上、要点をまとめてみました。
物忘れの自覚があり、加齢の範囲を超えた記憶障害が存在するものの、自立生活機能が正常に保たれる状態を軽度認知障害(MCI=Mild Cognitive Impairment)と言いますが、脳内ではすでに病因物質であるアミロイドβ蛋白が十分に蓄積していて、形態的にも脳萎縮がわかる状態なのだそうです。

物忘れから周囲に気づかれ、認知症と診断されるときには、脳ではすでに多くの神経脱落が起きているというのです。
こちらに図解がありますので、ご参照ください。
『図 認知症患者の症状とバイオマーカーの変化』の部分です。

バイオマーカーの変化を調べることによって、今後MCIや認知症に移行していく可能性を探ることができるようです。

早期発見で進行を遅らせることができます。予防や改善につながる対処もあります。今後、さらなる研究の成果が期待されますね。

2013年8月5日月曜日

ウクレレ弾こうよ♪

ベランダで育てたハイビスカス

みぃです。
趣味でウクレレを弾いています。4年ほど前に購入してボチボチ練習していたのですが、出産&育児で中断し、最近になって教室に通い始めました。育児を離れて一時間半ウクレレに没頭するのは、とてもいい気分転換になります。

4日はかじまちヤマハホールにウクレレフェスタコンサートを聴きにいきました。ビギナーからセミプロ?と思われる方まで、レベルや年齢もさまざまでした。
ご高齢の方もアロハを着こなし颯爽と舞台に上がる姿は「かっこいい!」の一言。趣味を楽しんでいる人はいつまでも若いですね。お手本にしたいです。
コンサートの後は下のフロアを順に見ましたが、さすが音楽のまち浜松です。たくさんの人が楽器や楽譜を買いに訪れていました。皆さん表情がイキイキとして楽しそう。この笑顔は音楽の効能でしょうね。
ヤマハの国産ウクレレも試弾させていただきましたが、音の響きが豊潤でビックリ。やはり、高価な楽器はお値段なりの音がするものですね…。

ちなみに、ウクレレを始めたきっかけは「新婚旅行でハワイ島に行ったから」です。ありがちでスミマセン。

ハワイに興味のある方には池澤夏樹著『ハワイイ紀行』がおすすめです。ハワイの気候風土や歴史、文化について詳しく知ることができます。ガイドブックよりこの一冊を読んで行くべきだった!と後から思いました。
ハワイを旅した気分に浸りたい方にもおすすめですよ。

2013年7月30日火曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その4

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その4です。
詳細はこちら

「心臓病とつきあうための工夫」
・心臓病はなぜ怖いか?
①高齢になるほど心臓病が起こりやすい
②心臓の悪くない人にもおこる
③突然発症し、死亡の原因になる
④苦しい(心臓が止まり、肺に水がたまるので)
⑤脳卒中の原因になる
・心臓病には多くの種類があるが、最終的に死亡にいたる、または障害を残す主な合併症には心不全、重篤な不整脈、脳梗塞、感染症がある。
・心臓病と長くつきあうためには次のことが大切
①自分の病気と重症度について知る
②日常生活での自己管理を行う
③栄養管理を行う
④生活に運動を取り入れる
⑤薬について理解する
⑥緊急時の対処を正しく理解する

以上、要点をまとめてみました。
過剰な負担をかけない生活が心臓を守ります。
血圧を下げる、脈拍をゆっくりにする、体重を落とす、体力をつける、ストレスを避けることが大切だそうです。
「心臓を守る」とは、持病のない方であれば普段はなかなか意識されない視点かと思います。
ものごとの一番大事なところを「心臓部」と言いますが、心臓という臓器がいかに大切であるかが窺える言葉ですね。
きちんと休みながら心臓をいたわり、上手に使っていきましょう。

2013年7月29日月曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その3

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その3です。
詳細はこちら

「認知症―早く見つけて早く治療―」
・認知症の定義は「正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたした状態」
・認知機能とは外界の情報を収集・知覚し、判断・推理・記憶すること
・記憶障害や思考判断力の低下などの中核症状と、徘徊・妄想・暴力暴言などの周辺症状がある
・認知症の治療は中核症状と周辺症状に分類して対応
・中核症状に対しては抗アルツハイマー型認知症治療薬を投与
・周辺症状は進行する物忘れや思考判断力の低下による心の不安作用であるため認知症患者全員が伴うものではない
・周辺症状が出現した場合は介護対応の変更や症状に合わせた薬剤投与が有効
・進行抑制は、いかに早く認知症を見つけ進行抑制薬を導入するかがポイント

以上、要点をまとめてみました。
アルツハイマー病の初期には記憶障害より実行機能障害が先に現れやすいそうです。
つまり、もの忘れよりも先に、以前は当たり前のようにできていたことができなくなってくるのです。
おかしいなと思ったら早めに医療機関を受診することが大切です。

認知症専門医を受診するには次のような方法があります。
①かかりつけ医に地域の専門医を紹介してもらう
②市区町村の相談窓口や地域包括支援センター、在宅介護支援センターなどに相談する
日本認知症学会日本老年精神医学会のホームページで専門医を検索する

早期発見で進行を遅らせる、予防や改善につながる対処もある、と覚えておくとよいと思います。
受診すべきかどうかわからない、迷っているという方は、ご本人に限らずご家族の方でもかまいませんので、まずは相談をしてみてください。

2013年7月28日日曜日

周産期・新生児医療から学ぼう~生活習慣病発症リスクとその予防~

みぃです。
第2回はままつ健康フォーラムに参加してきました。特に後半のテーマは興味深い話題でしたので、ここで少しご紹介します。浜松医大の伊東宏晃先生の軽妙なトークで、笑いの絶えない講演でした。

「周産期・新生児医療から学ぼう~生活習慣病発症リスクとその予防~」
・女性のやせ願望は非常に強く、20代の25%はやせ(BMI18.5未満)の状態。ダイエット中に妊娠する人が増えている。やせの女性が低体重児を出産するリスクは最大2倍。
・近年は新生児の10%が2500グラム以下。平均出生体重が減少しているのは先進国で日本だけ。

・すべての妊婦に対して体重増加制限を行っているのは日本のみ。
・日本産婦人科学会が1981年に栄養管理指針を決定した際に根拠としたのはオランダ飢饉(Dutch famine)の疫学調査。妊娠中毒症の発症率が低下したという論文。後に否定されたが、指針はそのままになっている。

・1980年代にBarkerらが出生体重と心疾患の関連を調査。母体の栄養状態が悪い地域ほど成人後の心筋梗塞での死亡率が高く、出生時体重が小さい人ほど虚血性心疾患による死亡が多いという結果が得られた。
・さらに研究が進み、高血圧症、高脂血症、糖尿病などは胎児期の低栄養によって発症することが明らかとなった(FOAD説)。
・現在、「胎児期~幼小児期の環境が成人期の慢性疾患リスクに影響を与える」とする概念(DOHaD)として研究が進んでいる。

・ただし、低体重児を産んだ母親にこの話をするべきかというと、時期尚早。Barker仮説をそのまま現代の日本に当てはめるには生活環境が違いすぎる。さらなる検証が必要。

以上、要点をまとめてみました。
低栄養状態にさらされた胎児は“飢饉”に備えて脂肪をため込みやすい体質に遺伝子が変化してしまう、つまり生まれながらにしてメタボ体質になってしまうという衝撃的な内容でした。 
講演中に妊婦さんの食事調査の結果も紹介されましたが、朝食抜きや夕食はミカン1個という人もいて会場は騒然!食育の重要性を痛感しました。 
結局は、体重やカロリーなどの数字にとらわれすぎずバランスのよい食事を心がけること。しかも妊娠前から気をつけることが重要なようです。
私自身も子供の出生体重が低体重スレスレなので、この話題は以前から気になっていました。小さく産んだ責任として、子供には栄養に関する正しい知識を身につけさせねば…と思っています。

2013年7月22日月曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その2

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その2です。
詳細はこちら

「運動器の健康から見た長寿の秘訣」

・運動器とは、骨格、筋肉、神経の総称。
・健康寿命とは「寝たきりにならずに身の回りのことが自分でできる寿命」。2012年発表の日本人平均寿命は女性85,9歳、男性79,4歳。健康寿命は女性73,6歳、男性70,4歳。女性は約12年、男性は約9年間が要介護状態で、長寿に運動器の耐用年数が追い付いていないのが現状。

・平成22年厚生労働省国民生活基礎調査では、介護が必要となった原因のトップは関節疾患、骨折・転倒、脊髄損傷など運動器の障害。

・運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態をロコモティブシンドローム(ロコモ)という。
・ロコモの3大原因は「バランス能力の低下」「筋力の低下」「骨や関節の病気」。7つのロコチェックで確認する(ひとつでも当てはまればロコモかも!)

・ロコモ対策には適切なトレーニング(ロコトレ)、バランスのとれた食事、骨や関節の病気の予防と治療が大切。

・ロコトレは開眼片脚立ちとスクワットの2種類。両脚立ちと比べて片脚立ちは2.75倍の負荷があり、1分間の片脚立ちは53分間の歩行に相当する運動強度がある。
・バランスのとれた食事をして、骨を丈夫にするカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、筋肉を作るタンパク質を十分に摂取することも必要。
・骨や関節の病気を指摘されている方は、整形外科を受診して適切な予防、治療を受けることも大切。

以上、要点をまとめてみました。

予防できるという点において、ロコモはメタボと同じです。
「動かない(=運動器の不健康)」から、「動けない(=生活機能低下)」となってしまう前に、積極的に体を動かしていきましょう。
ロコトレの方法はこちらを参照してください。
これならTVを見ながらでもできますね。

鍼灸マッサージには筋疲労を緩和させる効果があります。

運動の前後に、体調管理の一環としてぜひご利用ください。

2013年7月21日日曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その1

わしです。
この夏、第35回浜松医科大学公開講座に参加しました。
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少しずつ内容を紹介していきたいと思います。

「長寿のためのメタボ・糖尿病予防対策」
・メタボリックシンドロームの予防には食事、運動療法が最も大切
・運動療法のコツは、日常生活に運動を取り入れること
・食事療法のコツは、
①食習慣を見直す(早食い・ドカ食い・つまみ食い)
②バランスのとれた食事をする(主食・主菜・副菜)
③食品交換表を使いこなす
※食品交換表は、おもに糖尿病の食事療法のために、栄養素ごとに食べ物をグループ分けしてあります。
1単位が80キロカロリーで計算され、同じグループの食べ物は交換できるため、献立が立てやすいといった特徴があります。

以上、要点をまとめてみました。
とはいえ、何をどうすればいいのかわからないなぁゴロゴロ…という方もいるかと思います。
まずは体重を計ることを習慣にしてみたらいかがでしょうか。
私はタニタのインナースキャンという体組成計を使っています。
体脂肪率、内臓脂肪レベルなども表示してくれるという優れものです。
体重以外の要素も把握できるのが意外とおもしろくて、健康管理をするうえで大切なモチベーションの維持につながっています。

運動の一案として、ショッピングモール内を散歩するとよいという話もありました。
季節を問わず快適に歩けますし、退屈もしないですし、確かにいいアイデアですよね。
ただし買い食いにはご用心です!

“予防が大切な疾患”とは言ってみれば“予防ができる疾患”ですので、健康的な生活習慣を身につけて、ぜひ予防に努めていきたいですね。

2013年6月6日木曜日

よくわかる母乳育児

みぃです。
今回は『よくわかる母乳育児』という本の紹介をします。

母乳育児の支援者(医療従事者)に向けて書かれているので、一般の方にはわかりにくいかもしれません。「母乳で育てたい」と希望しながら、必要な知識がないために母乳で育てられないという人を支援するための本です。母乳至上主義というわけでは決してなく、むしろ積極的に人工乳を選択したのであれば、その意思を尊重すべきとしています。

母乳育児のメリット、食生活と投薬、アレルギーなど医学雑誌に掲載された論文をもとにした幅広い情報が載っています。
乳房の解剖や母乳分泌の生理も詳しく解説されていて、マッサージ師の私にも非常に参考になりました。

科学的根拠がないまま育児書に載せられている情報が多いことを改めて知りました。ほとんど疑問を持たなかった自分を反省中です。
例えば「脂っこいものを食べると乳腺炎になる」という通説ですが、母乳分泌の生理からみると、食事の影響を受けるのは脂肪酸の種類であって量ではないようです。実際に脂肪摂取と乳管閉塞の関連を検討した論文はほとんどなく、欧米でも脂肪摂取制限は行われていないそうです。(もちろん脂肪のとりすぎは母親自身のためにも良くありません)

赤ちゃんの生命力の強さに感心した記事もたくさんありました。出生後に母親の腹部に置かれた赤ちゃんは乳頭のところまで這い上がり、平均50分後には自力で乳房を吸い始めるそうです。野生動物だけかと思っていましたが、人間の赤ちゃんもたくましいですね。

私は2児の母ですが、上の子はミルクとの混合、下の子は母乳のみで育てています。1回の母乳量があまり多くないのか授乳が頻回になります。離乳食が始まる頃まで2~3時間おきでした。
ただ、下の子を出産後にこの本を読み、体力的な辛さを補って余りあるメリット(乳がん、卵巣がん、子宮体がん、骨粗鬆症、関節リウマチ、生活習慣病のリスク減など)があるとわかったので、今回は頑張って続けることができました。

授乳のみならず、母親は妊娠直後から心身ともに大変な日々が続きます。肩こり、腰痛、腱鞘炎などの症状があっても我慢しながら頑張っている方がとてもたくさんいらっしゃいます。様々な不安を抱えて、精神的に余裕がなくなることもしばしばです。
身体のコンディションを整える、情報提供をする、愚痴や悩みを聞くなど、少しでもお力になることができれば幸いです。お悩みをお持ちの方は一度ご相談ください。

2013年4月21日日曜日

ごあいさつ

はじめまして。M治療院の「わし」です。

このブログでは、夫婦ではりきゅうマッサージ治療をしている「わし」と妻の「みぃ」が、身体や健康の話題を中心に、さまざまな情報を発信していきます。

どうぞよろしくお願いいたします。