2013年8月26日月曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その10

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その10です。
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「元気で長生き、食生活のコツ」
・「サルコペニア」…年齢とともに筋肉が減る現象
・筋肉量、特に太ももの筋肉が減ると転びやすくなる
→骨折をすれば健康寿命が短くなる可能性がある
・筋肉を減らさない最大の方策は、定期的に運動すること
・厚生労働省の平成23年度「国民健康・栄養調査」によると、運動習慣のある人の割合は、成人男性35.0%、成人女性29.2%
※運動習慣=1日30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続
・筋肉を維持するための食事のコツ
①エネルギーを十分にとる
→エネルギーが十分ないと、タンパク質はエネルギー源として使われ、筋肉の合成に使われない
・筋肉の合成は1食あたりのタンパク質量が20gで最大となる
20g以上のタンパク質をとった場合、残りはエネルギー源として使われる
「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」では、タンパク質の一日必要量は体重kgあたり1g程度
②良質のタンパク質をとる
→食物からしか確保できない9つの必須アミノ酸がすべて必要量を満たす(アミノ酸スコアが100点の)食材を摂取する
代表的な食材は、肉類(牛、豚、鶏)、鶏卵、牛乳など
③運動後の栄養補給は早めにする
理由1:筋肉の血流が増えているため、筋肉へのアミノ酸の供給量が増える
理由2:筋肉の合成を促すインスリンに対し、筋肉の感受性が高くなっている

さらにまとめると…
・健康寿命を延ばすポイントは「筋肉を減らさないこと」
定期的な運動をして、エネルギー量が十分に確保された良質なタンパク質を含む食事を運動後なるべく早く摂取すること!

人体をクルマに例えてこんなおもしろい言い方をされていました。
「筋肉はエンジンで、定期的な運動が必要。食事はガソリンで、適切なエネルギーが必要。自分はドライバーで、身体活動を向上させる意欲と継続する力が必要。」
最も大切なのはドライバーのあり方でしょうか。
どんな自分でありたいか、そのためにいま何をすべきか。目標を決めるのも、それに向かって努力をするのも自分自身です。
私はといえば…日々反省です。
NHKの「あさイチ」で「サルコペニア肥満」について放送がありました、とお話の中で紹介されていました。リンクを張っておきますので、ぜひご覧ください!

2013年8月25日日曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その9

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その9です。
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「超高齢化時代を迎え
排尿障害をいかに克服するか」
・膀胱から尿道の出口までを「下部尿路」という
・蓄尿機能…膀胱内に尿を貯留する働き
・排尿機能…貯留した尿を尿道から排出する働き
・一般的には蓄尿障害を含めて排尿障害とされている
・下部尿路障害を起こす疾患のほとんどは致死的疾患ではなく、生活の質(Quality Of Life=QOL)を損なう疾患
※致死的疾患→腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんなど
・主な尿失禁…腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁
・20~50才女性の20~25%が腹圧性尿失禁
・腹圧性尿失禁には症状の軽い順に運動療法、薬物療法、手術療法があり、干渉低周波療法(有効率30~70%)という選択もある
・過活動膀胱(OverActive Bladder=OAB)…40才以上男女の12.4%、約800万人(このうち切迫性尿失禁がある人は約400万人)
・OABの治療
①行動療法→生活指導(水分・カフェインの摂取制限)、膀胱再訓練(排尿間隔を少しずつ延長させ膀胱容量を増加させる)、骨盤底筋訓練、排泄介助
②薬物療法→抗コリン薬(副交感神経遮断)…異常な膀胱収縮を抑え、膀胱容量を増やす

以上、要点をまとめてみました。
致死的疾患ではないものの、QOLの低下を招く下部尿路障害は苦しいものだと思います。しかし、決して諦めることはありません。
QOL疾患の受診の目安は、現れている症状のために「行動が制限されて困る」といった、日常生活での支障があるかどうかです。
日常生活に支障があり、症状の改善を希望する場合は、必ず泌尿器科を受診しましょう。
気になる方はまず、こちらでご自身の症状をご確認ください。
尿失禁の頻度や量、日常生活に対する影響や尿失禁の種類を自分で把握するための質問票です。
大切なのは患者さん自身がどう感じているかです。独りで抱え込まずに、専門家にご相談ください。

2013年8月12日月曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その8

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その8です。
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「脳卒中から身を守る」
・脳卒中とは脳出血と脳梗塞のこと
・脳出血…血管が破綻するもの、高血圧性脳内出血は減少傾向
・脳梗塞…血管が梗塞するもの、脳卒中全体の70%以上
・脳梗塞の3病型
①心原性梗塞→心臓にできた塞栓が脳血管に詰まって起こる。心房細動と呼ばれる不整脈が主な原因。症状が急激に発現し重篤な後遺症が残る可能性が大きい。予防的に「抗凝固剤」ワルファリンの投与が推奨されている。
②アテローム血栓性梗塞→高血圧に加え、脂質異常症が主な原因。脳の主幹動脈のアテローム硬化による大血管病。再発防止に「抗血小板薬」が用いられる。
③ラクナ梗塞→脳の穿通枝に起こる小血管病。高血圧性脳内出血と類似した血管の病変が破綻せずに閉塞すると起こる。抗血小板薬を治療に用いる場合、慎重な血圧管理をしないと出血が起こる可能性がある。
・脳卒中の危険因子としては年齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動、大量飲酒などがある
・脳梗塞にならないために最も大切なことは、危険因子の管理!

以上、要点をまとめてみました。
年齢のように変えられない因子もありますが、適切な治療や生活習慣により改善できる因子もあります。
脳卒中は危険因子の回避により、ある程度は予防ができ、また発症しても症状が軽くすむ可能性があるそうです。
病院勤務をしていた頃は、脳卒中の後遺症を抱えた方々の治療もさせていただいていました。
後遺症の現れかた、重症度には個人差がありますが、日常生活もままならず大変な思いで暮らしている方も大勢いらっしゃいます。
みなさんが脳卒中を発症しないこと、万が一発症した場合にも身体的・精神的に支えられるようにしたいというのが私たちの願いです。

2013年8月11日日曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その7

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その7です。
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「長寿の秘訣は腸からー鍛える腸と守る腸―」
・腸内に棲息する細菌は総称して腸内細菌叢(腸内フローラ=花畑)と言われ、100兆個以上の細菌が絶妙なバランスを保っている(人体の細胞は約60兆個といわれていますが、それ以上!)
・腸内細菌叢の代表的な働き
①脂質代謝の活性化
②ホルモンやビタミンの産生に関与
③消化・吸収・代謝への作用
④有害物質や発癌物質の分解・排泄
⑤免疫系の賦活
⑥pHの調整と蠕動運動の活性化
⑦病原菌・有害菌の感染防御
⑧各種臓器の機能の活性化や保全に関与
・ステキな花畑を作るために
①善玉菌を増やす(土壌を改良する)=プロバイオティクス
②善玉菌を与える(肥料を与える)=プレバイオティクス
※善玉菌…乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌など。食品に含まれる細菌は人体に定着しないが、ある程度流れずにとどまり悪玉菌を抑制する。
・免疫細胞の約6割が腸内に待機し病原体と戦っている
・腸を守るポイントのひとつが腸内環境の維持、もうひとつは癌から守ること
・腸を鍛えれば生活習慣病になりにくく、癌にもなりにくい
・早期癌の50%は便潜血反応では検出できない、ポリープあるいは内視鏡で切除できる癌なら95%の確率で根治可能、他に直接診断できる方法がないといった理由から大腸内視鏡検査をお勧めする

以上、要点をまとめてみました。
腸内細菌の様々な働き、その影響力に驚かされました。
ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品は腸内環境の維持に大切なんですね。おいしいうえに健康にいいなんて、ますます食事が楽しみになります。
どんなに腸を鍛えても癌の壁は越えられないので、真剣に長寿を考えているのなら、胃内視鏡・大腸内視鏡検査を今すぐ受けましょうとのことでした。5年に1度くらいの頻度で検査を受けるとよいそうです。
最後にお話の中で出てきた標語をご紹介したいと思います。
「長寿は腸寿!腸寿で長寿!!」

2013年8月7日水曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その6

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その6です。
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「健康長寿の食事パターン」
・栄養疫学研究で用いられている「食事パターン」とは、総合的な食事の食べ方(栄養素、食品の組み合わせ全体)を評価する、比較的新しい概念
・「食事パターン」の例
①地中海食パターン
②伝統的沖縄食パターン
③DASH食パターン
※Dietary Approaches to Stop Hypertension…高血圧を防止するための食事。米国国立衛生研究所の主導でアメリカ人に向けて実施された。
・「食事パターン」研究の長所
①摂取実態にそっている
→研究成果を食事指針等として還元しやすい
②栄養素、食品の組み合わせを評価する
→相互作用を含めて評価できる
→健康影響を検出しやすくなる
・「食事パターン」研究の短所
→特定の成分と疾病の生物学的関連性を観察するには不適
・「伝統的な日本食パターン」は食塩の多さと野菜不足が問題
・野菜、果物、大豆食品、海藻などをよく摂り、食塩控えめな「健康的な日本食パターン」は、病気の予防に対して有効という研究結果が集まりつつある

以上、要点をまとめてみました。
何をどのくらい食べるべきかは個人の生活様式(年齢や運動量など)によって違いますが、総合的にバランスのとれた食事が原則です。
農林水産省の「食事バランスガイド」を参考にして、バランスゴマ君を回してみてください。
こちらは第1次健康日本21における食生活指針です。
基本的な食生活のあり方が示されており参考になると思います。
この中で「食事を楽しむ」「朝食をとる」「体重を計る」といったことは普段から自分でも実践できていると思います。
「調理方法が偏らないようにする」とか「食材に関する知識や調理技術を身につける」という点は意識して気をつけていきたいと思いました。
食事は習慣ですので、なかなか変えられないかもしれません。
これは健康に良さそうだ、これならできそうだ、と思った良い習慣を取り入れて、少しずつ食習慣を改善していけるといいですね。

2013年8月6日火曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その5

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その5です。
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「アルツは今:最新の脳研究から」
・アルツハイマー病(AD)の原因はアミロイドという異常蛋白の蓄積とするカスケード説が中心的な考え方となっている(アミロイドカスケード説では説明できないことが多く残されているのも事実)
・病態を客観的に表現するバイオマーカーの探索が重要視されている
・AD脳の分子的異常を観察する手段はポジトロン断層撮像(PET)しかない
・PETでエネルギー代謝を定量的に調べることで、どの程度脳活動が低下しているかを調べることができる(変性していく細胞ではブドウ糖代謝は低下する)
・MRIでもAD脳の形態的変化を観察することができる
・ミクログリアイメージングという手法もある
アミロイドβ蛋白の異常蓄積がミクログリアを活性化
→活性化ミクログリアは細胞障害を引き起こす化学物質を放出
→ミクログリア内に発現する受容体をPETトレーサーで描出

以上、要点をまとめてみました。
物忘れの自覚があり、加齢の範囲を超えた記憶障害が存在するものの、自立生活機能が正常に保たれる状態を軽度認知障害(MCI=Mild Cognitive Impairment)と言いますが、脳内ではすでに病因物質であるアミロイドβ蛋白が十分に蓄積していて、形態的にも脳萎縮がわかる状態なのだそうです。

物忘れから周囲に気づかれ、認知症と診断されるときには、脳ではすでに多くの神経脱落が起きているというのです。
こちらに図解がありますので、ご参照ください。
『図 認知症患者の症状とバイオマーカーの変化』の部分です。

バイオマーカーの変化を調べることによって、今後MCIや認知症に移行していく可能性を探ることができるようです。

早期発見で進行を遅らせることができます。予防や改善につながる対処もあります。今後、さらなる研究の成果が期待されますね。

2013年8月5日月曜日

ウクレレ弾こうよ♪

ベランダで育てたハイビスカス

みぃです。
趣味でウクレレを弾いています。4年ほど前に購入してボチボチ練習していたのですが、出産&育児で中断し、最近になって教室に通い始めました。育児を離れて一時間半ウクレレに没頭するのは、とてもいい気分転換になります。

4日はかじまちヤマハホールにウクレレフェスタコンサートを聴きにいきました。ビギナーからセミプロ?と思われる方まで、レベルや年齢もさまざまでした。
ご高齢の方もアロハを着こなし颯爽と舞台に上がる姿は「かっこいい!」の一言。趣味を楽しんでいる人はいつまでも若いですね。お手本にしたいです。
コンサートの後は下のフロアを順に見ましたが、さすが音楽のまち浜松です。たくさんの人が楽器や楽譜を買いに訪れていました。皆さん表情がイキイキとして楽しそう。この笑顔は音楽の効能でしょうね。
ヤマハの国産ウクレレも試弾させていただきましたが、音の響きが豊潤でビックリ。やはり、高価な楽器はお値段なりの音がするものですね…。

ちなみに、ウクレレを始めたきっかけは「新婚旅行でハワイ島に行ったから」です。ありがちでスミマセン。

ハワイに興味のある方には池澤夏樹著『ハワイイ紀行』がおすすめです。ハワイの気候風土や歴史、文化について詳しく知ることができます。ガイドブックよりこの一冊を読んで行くべきだった!と後から思いました。
ハワイを旅した気分に浸りたい方にもおすすめですよ。