2013年7月28日日曜日

周産期・新生児医療から学ぼう~生活習慣病発症リスクとその予防~

みぃです。
第2回はままつ健康フォーラムに参加してきました。特に後半のテーマは興味深い話題でしたので、ここで少しご紹介します。浜松医大の伊東宏晃先生の軽妙なトークで、笑いの絶えない講演でした。

「周産期・新生児医療から学ぼう~生活習慣病発症リスクとその予防~」
・女性のやせ願望は非常に強く、20代の25%はやせ(BMI18.5未満)の状態。ダイエット中に妊娠する人が増えている。やせの女性が低体重児を出産するリスクは最大2倍。
・近年は新生児の10%が2500グラム以下。平均出生体重が減少しているのは先進国で日本だけ。

・すべての妊婦に対して体重増加制限を行っているのは日本のみ。
・日本産婦人科学会が1981年に栄養管理指針を決定した際に根拠としたのはオランダ飢饉(Dutch famine)の疫学調査。妊娠中毒症の発症率が低下したという論文。後に否定されたが、指針はそのままになっている。

・1980年代にBarkerらが出生体重と心疾患の関連を調査。母体の栄養状態が悪い地域ほど成人後の心筋梗塞での死亡率が高く、出生時体重が小さい人ほど虚血性心疾患による死亡が多いという結果が得られた。
・さらに研究が進み、高血圧症、高脂血症、糖尿病などは胎児期の低栄養によって発症することが明らかとなった(FOAD説)。
・現在、「胎児期~幼小児期の環境が成人期の慢性疾患リスクに影響を与える」とする概念(DOHaD)として研究が進んでいる。

・ただし、低体重児を産んだ母親にこの話をするべきかというと、時期尚早。Barker仮説をそのまま現代の日本に当てはめるには生活環境が違いすぎる。さらなる検証が必要。

以上、要点をまとめてみました。
低栄養状態にさらされた胎児は“飢饉”に備えて脂肪をため込みやすい体質に遺伝子が変化してしまう、つまり生まれながらにしてメタボ体質になってしまうという衝撃的な内容でした。 
講演中に妊婦さんの食事調査の結果も紹介されましたが、朝食抜きや夕食はミカン1個という人もいて会場は騒然!食育の重要性を痛感しました。 
結局は、体重やカロリーなどの数字にとらわれすぎずバランスのよい食事を心がけること。しかも妊娠前から気をつけることが重要なようです。
私自身も子供の出生体重が低体重スレスレなので、この話題は以前から気になっていました。小さく産んだ責任として、子供には栄養に関する正しい知識を身につけさせねば…と思っています。