2013年8月6日火曜日

第35回浜松医科大学公開講座 その5

わしです。
第35回浜松医科大学公開講座その5です。
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「アルツは今:最新の脳研究から」
・アルツハイマー病(AD)の原因はアミロイドという異常蛋白の蓄積とするカスケード説が中心的な考え方となっている(アミロイドカスケード説では説明できないことが多く残されているのも事実)
・病態を客観的に表現するバイオマーカーの探索が重要視されている
・AD脳の分子的異常を観察する手段はポジトロン断層撮像(PET)しかない
・PETでエネルギー代謝を定量的に調べることで、どの程度脳活動が低下しているかを調べることができる(変性していく細胞ではブドウ糖代謝は低下する)
・MRIでもAD脳の形態的変化を観察することができる
・ミクログリアイメージングという手法もある
アミロイドβ蛋白の異常蓄積がミクログリアを活性化
→活性化ミクログリアは細胞障害を引き起こす化学物質を放出
→ミクログリア内に発現する受容体をPETトレーサーで描出

以上、要点をまとめてみました。
物忘れの自覚があり、加齢の範囲を超えた記憶障害が存在するものの、自立生活機能が正常に保たれる状態を軽度認知障害(MCI=Mild Cognitive Impairment)と言いますが、脳内ではすでに病因物質であるアミロイドβ蛋白が十分に蓄積していて、形態的にも脳萎縮がわかる状態なのだそうです。

物忘れから周囲に気づかれ、認知症と診断されるときには、脳ではすでに多くの神経脱落が起きているというのです。
こちらに図解がありますので、ご参照ください。
『図 認知症患者の症状とバイオマーカーの変化』の部分です。

バイオマーカーの変化を調べることによって、今後MCIや認知症に移行していく可能性を探ることができるようです。

早期発見で進行を遅らせることができます。予防や改善につながる対処もあります。今後、さらなる研究の成果が期待されますね。